クラクラに夢中でくらくら~

とてちのクラクラを愛する方の為の秘密基地です。

消えない跡

2016
09
キーン!
部屋にグラスの音が鳴り響く。

「今日もお疲れ。」
「お疲れ様。」
「今回は圧勝だったな」
「リードが強すぎだからよ。」
「お前もすごかったけどな」

リードバーグとバルキリーはこの村の司令塔兼特攻隊長を任されている。
二人はいつも1日の仕事が終わった後にこうして杯を交わすのが毎日の疲れを癒す楽しみである。
数日前リードバーグはバルキリーにプロポーズした。
バルキリーはその場でそれを受け入れた。
街のみんなも彼らの結婚を喜んでいた。
来月には結びの日も控えている。

村は彼らの活躍によって勢力を拡大し、今では世界で三大勢力のひとつとなった。
生活も豊かになり、みんな感謝している。

いよいよその勢力のひとつとの戦が行われる。
事実上世界で一番つよい力の誕生となる。

リードバーグとバルキリーもその戦いに胸躍らせていた。
彼らには自信しかなかった。

戦いが行われる前日には毎回王の前で勝利を誓う「誓いの儀」が行われる。

「我々はこの国の為に全身全霊で戦い、必ずこの国に勝利をもたらす事をここに誓います」

リードバーグが王よりエンブレムを受け取る。

「我々に栄光あれ!」

リードバーグ含む戦士たちが一斉に武器を地面に叩き付けた。
場内に金属の音が轟く。

その夜、二人はいつもと同じように杯を交わした。

「いよいよだね」
「あー、ついにここまで来たな」
「心配じゃないの」
「あー、俺がいるんだ安心しろ」
「うん、わかった」


「リード、リード、リード起きて、、」
リードバーグが目を覚ました。
全身にものすごい汗をかいていた。
「夢か。変な夢を見ていた。」
「となりでうなされてるから起きちゃったわ。」
「すまない。」

朝御飯と支度を終え、二人は家を出て、戦いの場所へと向かった。
自陣の仲間たちの大半はすでに集まっていた。

「隊長!いよいよ世界一になるときがきましたね!」
「いよいよだな」

リードバーグとバルキリーはエリアのリーダーたちに戦闘の方針を伝えていく。
緊張した面持ちでリーダー達はそれを聞いていた。


「ザーガ、お前の力にかかっている、期待しておるぞ」
「お任せください国王様、私があの国を必ず破壊してみせます」
「隊長であるリードバーグとバルキリー、共に強敵と聞いておる」
「私が必ずこの国を世界一にさせてみせます」
「頼もしい、強くなったな」

定刻が近づいてきた。
互いの国から遠方にいる無数の戦員が見渡せる。
中には泣いている者、恐怖に負け自ら命を絶つ者もあらわれた。
目を瞑り祈りを捧げる者、空を見上げる者、一人一人の思いや人生が入り交じった状態で、大きな狼煙が上げられた。

「行けー!!!」
一斉に戦員達が相手目掛けて走っていく。
雄叫びがその空間を支配していた。



金属の無数の高い音が鳴り響く。
リードバーグは大きな斧で、バルキリーは両手の剣を巧みに操り次々と相手を倒していく。

終わりの見えない相手に向かい続けていた。
両者互角の戦いで、リードバーグそしてバルキリーの耳に次々と自国、相手国の幹部たちの訃報が伝達されてくる。

それに動揺することなく戦い続けた。

「バルキリー隊長!」
「次はなんだ。」
「リードバーグ隊長が、リードバーグ隊長が相手国の隊長との戦いで、」

戦員は感情が溢れて言葉に出すことが出来なかった。

「どっちだ!」
戦員は方向を指差し、バルキリーは走った。
向かってくる戦員をなぎ倒しながらその方向にひた走る。

その最中、遠くに重い鎧を着た見覚えのある者が、遠くに引き返して行くのが見えた。

「(ザーガなのか)」

バルキリーはリードバーグの元へ走り続ける。
戦闘エリアを抜けるとそこに人集りがあった。
バルキリーはそれを掻き分けて入っていく。
そこには倒れたリードバーグの姿があった。
「リード!リード!」
彼女はリードバーグを必死に揺さぶる。
だが反応などなかった。

彼女はその場で泣き崩れた。
どのくらい時間が経ったか分からないくらい泣き続けた。

もう生きていても意味がない。
リードがいないなら意味なんてない。

膝元にあった剣が目に入った。
それを手に取り、振りかざした。

が、何かがその手を止めたような気がした。
「(バルキリー、俺たちの夢を叶えてくれ)」
そう言われたような気がした。
リードバーグは優しい顔をして目を閉じていた。
「そうだね、リード、私たちの夢がもうすぐ叶うんだもんね。」
「このまま終わるわけにはいかないよね。」
「あなたの力を貸してもらうね」

「リードを国まで運んであげて」
そう戦員に伝える。

そしてバルキリーまた戦場に向かっていった。
ザーガを倒し、リードバーグとの夢を叶えるために。

彼の斧と共に。

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