クラクラに夢中でくらくら~

とてちのクラクラを愛する方の為の秘密基地です。

王になると決めた青年[物語]

2016
27

[絵:ゆきち様]


シャキーン!シャキーン!
ある村で剣の音が鳴り響く。

「ねぇバーバリアン、城下町まで買い物に行って来てくれない?」
「いいよ、何を買ってくるの?」
「さっき釜の取っ手が壊れてしまったから、新しいのを買ってきてほしいの。」
「わかった、似たようなやつを買ってくるよ。」
「悪いね、頼んだよ」

バーバリアンは人里離れた城下町へと向かいました。
しばらく歩みを進めると、牧場を営むおじさんに会いました。
「おー、バーバリアンお出かけかい?」
「そうなんです、城下町まで用事があって」
「おーそうかご苦労だな、そうだ、さっき採れた牛乳があるんだけど、良かったらどうだい?」
「本当ですか、ありがとうございます!」
バーバリアンはいただいた牛乳を片手にまた歩き始めました。
背後からはいつもの雄叫びが聞こえてきました。

「ホッグライダー!!」

「いつもおじさん元気だなぁ。」
そう呟いてバーバリアンは少しペースを速め再び城へ向かいました。

雲ひとつない天気で、遠くの山々まで見える景色を眺めながら、バーバリアンは牛乳を飲み干しました。

しばらく歩いていると、ようやくお城のてっぺんが見え始めました。

バーバリアンは久しぶりに見た城に高揚し、急ぎたい気持ちもあったが、少し疲れたので休憩することにしました。

天気も良くて芝生での昼寝はとても気持ちが良いものでした。

「ぐか~、ぐか~」
バーバリアンは熟睡でした。

「ドン!」
「痛ってぇ~~!なんだよ~」

目の前には黒い球体が落ちてました。
バーバリアンを衝撃的に起こしたのはとてもとても硬いウンチでした。

「待てー!ガーゴイル!」
そう叫んだ時にはもう遅く、ガーゴイルの姿は遠く豆粒の様になっていた。

「えっ、もう日が沈む!いそげー!!」
バーバリアンはだいぶ熟睡してしまったようです。
レイジの如く猛ダッシュで城に向かいました!

城の麓にある湖に差し掛かったところで、ひとりの女の子が、湖の向かいにいることに気づきました。
その女の子は無表情に湖の水面を見つめていました。

「どーしたんだろ。」

次第に女の子の表情は変わり、泣いておりました。
バーバリアンがその女の子の元に向かおうとしましたが、女の子は泣きながら走り去ってしまいました。

「何があったんだろう。」

バーバリアンは城に向かう間ずーっと彼女の事が気になってました。
バーバリアンが城に着いた頃には日は沈み、道具屋も店を閉めてしまっておりました。

「間に合わなかったかぁ、仕方ない、今日はどこか安い宿屋に泊まろう」
しばらく探しまわっていると、美味しい肉料理を提供してくれる、安めの宿が見つかりました。

そこの名物は火の玉を自在に操る人がいて、絶妙な焼き加減のビーフステーキ。

「美味しい!、マスターもう一皿下さい!」
「はいよ~!ファイアボール!」

バーバリアンは肉料理を存分に頂き、お腹いっぱいになりました。

「さーて、寝るとしよう」

バーバリアンは早々にベッドに横になりました。

「今日湖にいたあの子は今どうしてるんだろう、どうしてるんだろう。。」

バーバリアンはあの湖にいた女の子が気になって仕方がありません、そうです、一目惚れでした。

夜が明けると街は少し騒がしくなっており、街の掲示板には人が群がっておりました。

「うそだろ、王様なくなったのか。」
「次の王様誰が受け継ぐんだ。」

なんと国の王様が昨日亡くなっていたのです。

「そんなことが起きてたのか。」

バーバリアンはその事が気になりながらも、用事を済ませに向かいました。

ようやく街の端にある道具屋を見つけ、目当ての釜を手にしました。

「おじさん、これを頂けますか。」
「お前さんいい目をしてるね、私の自信作なんだ、少し安くしてあげるよ。」
「ありがとうございます、そういえば王様が亡くなったらしいですね。」
「そうなんだ、今度王位継承戦がきっと行われるだろうな」
「王位継承戦ですか。」
「王女が女王を継承するのは決まっておったが、王様を継承出来る者がおらん、この国の決まりでその時には強い者を王様に選ぶ戦があるんだ。」
「そうだったんですね、強い者か。」
「君もかなり鍛え上げられた体をしておるな、何かやっているのか」
「いえ、私は特に武術や教えを受けたりはしてないです、剣を握るのが好きなだけです。」
「そうか、悪かったな長話してしまって」
「いえいえ、ありがとうございました」

バーバリアンは用事も済んだので、家に戻ることにしました。

再び麓の湖を通るとまたあの女の子がいました。

「昨日もここにいましたね、どうかしたんですか。」
「お父さんが天国に行ったの。」
「えっ、もしかして君のお父さんって王様!?」
「そう、私はこの国の王女。明日葬儀が行われるわ」
「そうだったんですね、とても悲しいとは思うけど、お父さんは君が悲しんでいるのが、辛いと思うよ」
「確かにそうね、お父さんの為にも元気でいなきゃね!」
「うん!それじゃ僕は家に帰ります。」
「あなた、お名前は?」
「バーバリアンです。」
「私はアーチャー、ありがとう、少し元気になれた気がします」
「うん、では!」
「はい、またいつか!」

そしてバーバリアンは家路を辿っていきました。
「あら、バーバリアンお帰りなさい、心配したわよ」
「ただいま、買ってきたよ!」
「ありがとう、いい釜じゃない!早速これで料理作るわね!」
「うん」
「そう言えば、城の王様が亡くなったっていう知らせが来たの、びっくりね。」
「うん、街は騒がしかったよ」
「次の月に、王位継承戦があるんだってね、私がここに来て初めてだわ」

(来月なんだ。。)

バーバリアンは今日の出来事が頭から離れませんでした。
彼女への想いがどんどん強くなりました。

バーバリアンはその日から無我夢中で剣を振り続けました。
今までの何倍も何倍も。。
親には心配されたくないので、気づかれないようにただひたすら特訓を続けました。

王位継承戦の日がやってきた。

「父さん、母さん、聞いてほしい」
「どうした。」
「俺、王位継承戦に出ようと思ってる」
「何を言ってるの!そんな危険な場所に行くなんて!」
「大好きなんだ!王女の事が!この日の為に頑張ってきたんだ!」
「バーバリアン、母さんが心配なのはわかるよな、それでも行くのか。」
「うん。」
「わかった、、父さんもお前と同じ頃に、同じように危険とはわかっていながらも、それに立ち向かった過去がある、それがあって今母さんと一緒に過ごしている、だから反対は出来ない、ただ二人とも心配していることだけはわかってほしい」
「うん」
「絶対帰ってくるんだぞ!」
「約束する!」
「行ってこい。」

そしてバーバリアンは城に向かいました。
母さんはその場で泣き崩れました。
父さんはそっと抱きしめました。
「あいつはきっと帰ってくるよ、母さん。」
父さんの頬にも涙が伝いました。

バーバリアンが着いた時には大勢の人で賑わっておりました。
出場者の受付会場にも多くの人が並んでおりました。
だか、彼には自信しかなかった。

その自信を胸に、バーバリアンは勝ち進んだ。
どんどん対戦相手もつよくなり、幾多の危険な場面が訪れたが、無我夢中で彼は剣を振り、いよいよ決勝の場まで勝ち上がりました。

本気でぶつかりあっているが故に、会場で命を落としている者も多数いました。
会場は異様な熱気に包まれておりました。
決勝戦、柵が開かれたと同時に二人が舞台へと入ってきました。
お互い何戦もしていて、傷も負っており、体力も限界であるはずなのに、そこに立っていられるのは、負けられないという意地と王女への想いが支えているのでした。

「これより王位継承戦決勝戦を行う、勝ったものがこの国の王を継承することになる」
会場が声援で沸きました。
始まりの鐘が鳴り、一瞬で静寂が訪れた。

「うぉー!」
シャキーン、シャキーン!
お互いの剣がぶつかり合う音だけが会場に鳴り響く。
互いの力は互角で、観ている皆を魅了する強さのぶつかり合いであった。

そんな互角の争いの中、事態は動いた。

相手が思い切り振りかぶった剣をバーバリアンが受けたが、その力は凄まじく、剣が手元から離れた。

「(まずい!)」

すかさずバーバリアンはその剣を取ろうとする。
だが相手は容赦なく襲いかかる!

「くらえ!!」
「くっ、ぐは。。」






「王女は俺が守るんだ!」
バーバリアンの特訓の成果が勝った瞬間だった。
相手はその場で倒れ込んだ。

そして会場は声援で埋め尽くされた。

「かっ、勝てた。。」
バーバリアンも勝ちが決まった瞬間に大の字に倒れこみました。
極限状態だったのです。

その後、王位継承式が始まりました。
王族の方々が会場へと入ってきました。

その中には当然王女の姿もありました。

「うそ。信じられない。。」
「アーチャー王女また会いましたね。」
「バーバリアン、あの日からずっとあなたの事が忘れられなかった。」
「僕も忘れたことはなかったです。」

王女はバーバリアンを抱きしめました。

そして、王冠がバーバリアンに与えられました。

「この国の皆さん、私がこの国を全力で守ります!」
会場がまた声援に包まれた。

「私たちこれからずっと一緒だね」
「そうだ」

ここから二人の歴史が始まる。


ー完ー

written by とてち

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